第8章 resist
「私と連絡先交換しよっか、タケミチ。」
そう言って突然携帯を取り出したのでタケミチも慌てて携帯を取り出す。
「なんでも相談して。
私は東マンの相談役兼取締役だから。」
初めて少し表情を崩したその妖艶さにタケミチはドキリとなる。
「あ、はい!」
ランは河原の方へ行ってしまった万次郎を追いかけて行った。
河に石を投げ合っているその2人の背をタケミチはボーッと見つめる。
「マイキーくんもっすけど、ランさんて…なんかすごいっすね…女の子なのに…」
そう呟くと、ドラケンが低い声を出した。
「おいタケミっち。そのセリフ、ぜってーあいつの前で言うなよ」
「えっ」
「あいつは昔から、女扱いされることを1番嫌がるんだ。殺されるぞ。」
冗談で言っているのではない気がして息を飲む。
「あいつは本来、大の男嫌いでな。
男はみんな敵で悪だと、今でもそう思ってる。
男とは一切話しすらしねぇんだよ。
マイキーが認めた男以外とはな。」
「えっ…あ…だから俺とは話してくれるんすね…」
「ああ。ラッキーだな、お前。」
パッと見は、首の墨以外は、普通の可愛らしい女の子に見えるのだが、確かに昨日のランの強さを目の当たりにしたのでタケミチは生唾を飲み込み苦笑いする。
マイキーくんがダチと言ってくれて本当によかったと思った。