第8章 resist
「せっかくだからいろいろ見学してこーよー!」
タケミチの中学に着いた途端、そう提案したのはランだ。
ということで、まるで冒険家にでもなった気分であちこちの教室を見て回った。
美術室でも家庭科室でも音楽室でも、もちろん授業が行われていた。
当然生徒たちも教師たちも「?」を浮かべた視線を向けてくる。
あまりにも自然にぷらぷらしているので、本当に転校生か見学生に思われているかもしれない。
「なんーかうちの中学より広くね?」
万次郎の言葉に、ランも頷く。
「だよね?なんかムカついてきたわ」
せっかくだからこの広い体育館も使ってやろうと思い、3人で勝手にバスケを始める。
「シュートーーっ!!」
「っ!くそっ」
さすが、万次郎のジャンプ力はすごくて、背の高いドラケンでさえ阻止できない。
しかし、1度ボールがドラケンの手に渡ってしまえば、奪い返すことはかなり難儀だった。
「おっしゃーっ!どーだ見たか?ちびっ子たち。」
「うっざー!」
そしてランもランで非常にすばしっこいので流れるような俊敏さには2人でさえなかなか追いつけない。
「今度みんなも連れてきて試合やろーよ!」
「いーねいーね」
「溝中さいっこう♡」
なんとも勝手な発言なのだが、3人は本気でまたここを使うつもりでいる。