第2章 rampant
でも兄貴に対してもあいつはあんなんだから、ちょっとお手上げ状態らしい。
だから俺と兄貴は爺ちゃんに聞くしか無くなった。
「俺、思ったんだけど…男性恐怖症とか?」
兄貴が神妙な面持ちでそう言った。
しかし爺ちゃんは首を振る。
「あれは、そう簡単なもんではない。」
俺と兄貴は何を言い出すんだろうと目を見開いたまま次の言葉を待った。
だって男性恐怖症を簡単なもんとか言っちゃうほど深刻なもんなんてあんのか?
その後の話はこうだった。
ランは父親からDVを受ける母親を見て育つにつれ、男に対して恐怖心ではなく闘争心が植え付けられてしまったようだと。
だから俺たち男に対しては完全に敵に向けるような態度なのだと分かった。
ならば俺らは味方であること、
そして男が全員敵ではないことを証明しなくてはならない。
なんとかそれは分かってもらわなくちゃ…
それは俺自身が居心地悪いからとか
やりにくいからとかじゃない。
なにより、
ラン自身が可哀想だからだ。
ランという一人の女の生き方を変えてやりたいと思った。