第4章 サプライズは程々に♂(セト)
<…お前はあげないのか?>
不意にシンタローからそんなこと聞かれ、
一瞬アイツの顔が脳裏を過ぎった。
「は、はあ?な、なんで俺がセトなんかに…」
<誰もセトにあげるのか、なんて聞いてねーけど>
しまった。墓穴を掘ってしまった。
シンタローに視線を戻すと、これまた憎たらしい程にニヤニヤしていて……
一瞬、カノかと思ったくらいだ。
<なら、作ればいいんじゃねーか?>
「作る?…俺、チョコなんて作ったことねーよ…」
そう、今まで一度も料理をしたことがない。
チョコなんて溶かして型に入れ冷やして固めるなんて…一見単純な作業こそ実は難しいのかもしれない
そんな俺の不安に気付いてるのか、シンタローはある記事に指を指しニヤリと笑った。
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「うわー……凄いなー」
今、俺たちはチョコを買うためデパートに来ている。
珍しくシンタローも付き合ってくれて……
珍しくシンタローが付き合ってくれて……
え?2回も言った?ま、気にするなよ
平日ということもあって、あんま混雑はしてないのだけれど、やはりもうすぐでホワイトデーということもあり
チョココーナーには女がちらほらいて
皆、たくさんのチョコを見ていた。
俺は必要な材料だけをカゴにいれ
空いてるレジへと向かう。
少ししか買ってないのですぐに会計は終わり、少し離れたところでへばってるシンタローに近づく。
「お待たせ、ありがとうな買い物に付き合ってくれて」
<ああ……じゃ、帰るぞ>
アジトに居た数分前よりかなりやつれてるシンタロー。
自分から提案しといて…少し情けなく思うが口にせず心に留めるのだった。
『……なんで、シンタローさんと?』
そこにセトがいたなんて気付かずに。