第4章 サプライズは程々に♂(セト)
「ただいまー」
1人アジトへと帰宅した。
シンタローはそのまま実家に帰り
シンタローの家の前で別れたのだ。
手に持った袋をそのまま冷蔵庫に突っ込み、ついでにお茶が入ったペットボトルを取り出しキャップを開ける。
そのまま口に近づけ一気に水分を補給する。ごきゅごきゅと豪快に体内へと送り込み、半分近くまで減ったペットボトルに蓋をする。
すると玄関からガタッと、物音が聞こえた。
そちらに視線を向けると、無表情のセトが何も言わずこちらへとだんだんと近づき
俺の肩を力強く両手で掴んだのだ。
「っいたっ……」
あまりの痛さに思わず口するが、俺の言葉は気にせずセトがこちらをじっと見つめる。
『……っすか?』
「え?」
何かを発したようだが、うまく聞き取ることが出来ず、もう一度聞くと今度ははっきりとした口調で話し出す。
『今日、シンタローさんと何してたんすか?』
「?!い、いや……何言ってんだ?!俺はずっとアジトにいたぜ?」
自分でもわかっているが、見苦しい嘘なんてすぐに見破られる。
セトの顔を見ればやはり嘘だと気付いているのか、先ほどより曇った表情をした。
『そうっすか…俺には言えないこと何すね?やましい気持ちなんてないんすよね?
ただ、一緒にいただけなんすよね?
俺の早とちりっすよね?
ねー、不安なんす
どうしたら……』
セトは幾つもの疑問を俺に投げる。
それはとても感情の籠もってない言葉で
とても重みを感じた。
これ以上聞いていたらセトが壊れてしまいそうで……
だから、俺は安心させるようにセトをぎゅっと抱き締めた。
「大丈夫。何もない」
そう言えばさっきの暗くずっしりとした雰囲気がまるで嘘のように、いつもの落ち着いた雰囲気に戻ったのだ。