第2章 空模様のような♀死ネタ(セト)
なんで、気付かなかったんだろう。彼女はちゃんと別れを告げていたじゃないか。
なんであの時、聞き間違いだと思ったのだろう。
なんであの時、ちゃんと聞かなかったんだろう。
なんであの時、なんであの時………
いくら後悔したって彼女は戻ってこない
だけど、後悔の念はいくら拭おうとも拭いきれない。
押し寄せてくる
『さんっ…気付かなくて……ごめん
お、俺……さんのことっ…』
涙で視界がぼやける。
ぼやけた視界で彼女の顔を見つめ
今まで伝えたかったことを彼女に伝えようとしたら、枕元に何か置いてあるのに気づく
『…手紙…?』
セト君へと封筒に小さく書かれていた。
可愛らしい封筒を開け、手紙を取り出し中を見る
《セト君へ
突然の手紙でお許しください
きっと貴方がこの手紙を読む頃には私はもうこの世いないでしょう
でも、悲しまないで貴方の笑った顔が大好きです。いつも貴方に元気づけられていました。
だから、悲しむ顔はみたくありません。
ごめんなさい、自分勝手で。
私はもう長くないこと、助からないことに気付いています。
だから、最後に貴方とお話しできて嬉しかったです。
最後まで自分勝手でごめんなさい、最初に会ったあの日からセト君の事が好きでした。これは私の一方通行の片思いだから気にしないでね。
また、来世に会えると良いな
より
》
『っ…一方通行じゃないっすよ…っ片思いじゃなかったんすよ…っ』
彼女の亡骸に顔を埋め、しばらくの間涙が枯れるまで
静寂な部屋で静に涙を流したのだった。