第2章 空模様のような♀死ネタ(セト)
二階へ足を運ぶと、部屋が三つとトイレだろうか?小さいドアが一つある。
最初に小さいドアを開けると、やはり洋式トイレ。
すぐに別の部屋のドアを開ける。
『…何もない』
本当に何もないのだ。
生活感をまったく感じることがないような
大きな窓にカーテンも掛けられていない。
フローリングにも傷一つなく綺麗に磨かれている。
二つ目の部屋を開けると
窓側に鳥籠が置いてあった。
近づいて見てみると、小鳥たちは死骸となって冷たくなっていた。
『っ…さん』
鳥籠から視線を外し部屋全体を見回す。
先ほどの部屋と違って、女の子らしい可愛い部屋だ。
ぬいぐるみ、白いソファ-、ガラス製のテーブル…
物の数は少ないように見えるけど、ぬいぐるみが大量に目立つ。
その部屋に背を向け、最後の部屋のドアを開ける
何故かその部屋だけが、暗く
何故か血なまぐさい臭いがした。
『っさん』
声が震える。
ね、何で…さん…
ベッドにもたれかかる彼女に近づき
青みの掛かった冷たい手を握る。
その顔はとても綺麗だけれど
口のまわりは血を吐いてしばらく時間が経ったのだろう
べっとりと変色した血液がこびり付いていた。
『さん…っさんっ…さん…っ!』
何度も呼びかけも、反応はない。
当たり前だ、彼女は死んでいるのだから。
だけど、脳が正常に働かない。
わかってはいても何かしていないと
辛くて悲しくて…胸が潰されてしまいそうだから。
いつの間にか、雷雨に変わっていて
窓を激しく叩きつける。
双眸からこぼれ落ちる雫が彼女を濡らす。
そういえば、前に言ってたっけ…
《セト君って、元気でいいね…羨ましいな》
《セト君って、友達たくさんいるんだー…いいね》
《セト君って、太陽みたいなひとだね
嫌なことも全て忘れられる》
《セト君と話せるのはあとどのくらいだろう》
最後は決まって、儚げに微笑む彼女。
それが気になり理由を聞こうとすると上手く話をはぐらかされる。
そーいえば、最後にあった時
《セト君、今までありがとうね》