第8章 黄色と白のメッセージ♀(セト)
どうしてだろうか‥?そんな優しい言葉をかけられると
話すつもりじゃなかったのに勝手に口が動く。
涙を拭っても意味がなかった‥強くこすった目元は赤くそして少し腫れていたのだ。
「そうか‥白いタンポポ‥シロバナタンポポの事か?」
『知ってるんすか‥?』
「‥なぁ、白いタンポポの花言葉って知ってるか?」
俺の問いかけには答えずに、窓へと視線を移すシンタローさんにシロバナタンポポの花言葉を知らない俺は首をかしげシンタローさんの次の言葉を待つ。
「私を探して、そして見つめて」
『‥‥』
「‥あ!ひくなよ!!自分でもきもいって思ったけどよ!!」
『‥あ、いや‥ヒイテナイッス』
「嘘つけ!!ドン引きじゃねーか!!」
「‥でもこれがシロバナタンポポの花言葉‥もしかして、お前が想うそいつは気づいてほしかったんじゃねーか?そして、探してほしい‥そう、一縷の望みをかけてシロバナタンポポの事を話したんじゃないのか?‥まぁ、あくまで俺の推測だけれどよ」
『‥いや、間違ってないと思うっす‥今の今まで気づかなかった俺は大馬鹿者っすね‥シンタローさん、この花ってここでは見ないんすけど‥どこに咲いてるかわかるっすか?』
シンタローさんに教えてもらったけど、ここからじゃ遠い上に範囲が広い。
関西なんて‥行ったところで俺は見つけられるのか‥
記憶を便りにとぼとぼと昔、君が住んでいた家に向かう。
この道を通るのはとても久しぶりで、それでもあちらこちらと
建物がかわってたり‥増えたり‥景色が大分変わっててもどこか懐かしい匂いがする。
‥ここかな‥?
今では表札が変わっていて知らない誰かの住みかになっていたが、忘れるはずがない。
記憶のまま目の前に佇む建物の外壁は何も変わらずあの頃のまま。