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炎天下の夏の思いで (カゲプロ)

第8章 黄色と白のメッセージ♀(セト)



「黄色のタンポポの花言葉って知ってる?」


突然、後ろから声をかけられる。
今日はやけに花言葉を耳にするな。

「別離そしてまた逢う日までなんだって」

振り向く前にそう、言葉を告げる声はどこか懐かしいそして前より落ち着いた音色で俺の耳に届いた。
振り向く‥たった少しの動作のはずなのに‥どうしてこうもスローモーションのように見えるのだろうか?



『‥っ‥』

「見つけられたかな‥?」

目に写し、頭がその人物を認識したとたん何かに弾かれたように彼女に抱きつく。
成長して大きくなったとはいえ‥俺より頭一個分低く
そして女の体つきになった柔らかくて細い体を痛くないよう気を付けながら抱き締める。

『今までっどこに行ってたんすかっ!!俺、ずっとずっと‥ずっと逢いたくてっ!!』
「ごめんね‥急だったから‥でもねほらっ‥花言葉のように逢えたでしょ?」


『っ‥』

自分勝手だとわかってても‥この衝動に歯止めはきかない。
今までの恋い焦がれた感情を伝えるように無理やり唇をふさぐ。
息をするのもまどろっこしくて‥息継ぎをせずただ、重ねるだけの口づけ。

『っ‥』

口の回りが唾液で濡れようが構わない。
苦しそうな彼女の吐息に名残惜しくも唇を離すと彼女は困った顔で優しく笑ってくれた。


「これ‥幸助に」

『‥シロバナタンポポっ‥?』

最近、覚えた種名。
小さめの鉢植えに一本咲く真っ白な花びら。
白く儚い綺麗な姿は、タンポポを通しあのときの記憶が熱をもって顔を出す。

『「‥私を探して、そして見つめて」』

同時に呟いた言葉は擽ったかったけれど‥思っていることは一緒のようで‥あの頃に戻れた気がした。
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