第2章 空模様のような♀死ネタ(セト)
『お疲れさまーっす!』
花屋のバイトが終わる、17時。
何時ものように帰り支度をしいつもの帰路につく俺。
でも、最近変わったことがある。
前まではそのまままっすぐアジトに帰っていたが、最近…
寄り道をするようになったのだ。
アジトから少し離れた住宅街。
そこの角っこにある赤レンガの一軒家。
まだ、お姉ちゃんが生きていた頃
館山家の後に聳え立つ赤レンガで造られた一軒家。
それがとても似ていてつい、立ち止まってしばらくの間見ていたんだ。
そして、これが君と俺が初めて出会った日でもある。
遠目からしか見たことがないが、とても綺麗な人。
小鳥を何羽か飼っていていつもその子達と遊んでいる。
何度か声を掛けようとしたのだけれど、
緊張してしまい今この時まで見つめることしか出来ないままでいた。
『き、今日こそはなんとか…』
そう自分に言い聞かせ、勇気を振り絞ろうとした時タイミング良くあの人から声を掛けてくれた。
「こんばんはー」
『こ、こんばんはっ…す』
たったこれだけ…挨拶だけだけど、それだけでとても満足した。
それから、俺達はこれを機に毎日話すようになったのだ。
「あれ?セト君、今日も来てくれたんだ」
そう、嬉しそうに笑い手招きする彼女。
俺はゆっくりと彼女に近づき、彼女に促されるまま外に置いてあるベンチに座る。
「今日も良い天気だねー」
『そうっすね!あ、でも天気が悪くても毎日遊びに来るっすよ!』
「え?」
『あ、あの…ははっ…何言ってんすかね』
彼女を見れば不思議そうに首を傾げていて、何故だがとても恥ずかしくなり自分の頭を掻きながら目線を泳がせると不意に彼女がクスッと笑う。
「ご、ごめんなさいっふふ…セト君って可愛いんだね」
彼女の笑いにつられて、俺も苦笑交じり笑うのだが好意を抱いてる相手に可愛いと言われ複雑な心境だ。