第1章 ヒーローを独り占め♂(セト)
『や、止めてください。』
今日も僕はいじめっ子達に苛められる。
赤い瞳が気持ち悪いと思ってることが知られて気味が悪いと。
「こら。駄目だろ?…弱い者イジメをするなんてお前等卑怯者だな。掛かってこい、俺が相手になってやる」
そう言うといじめっ子達は捨て台詞を置き逃げていった。
「まったく…幸助…もう少し強くなったらどうだ?」
口調はキツいけど、優しい彼が大好きなんだ。
何度か能力が暴走して…見てしまったけど心も綺麗なひと。
『そう言われても…恐いです…』
そう泣けば、頭を優しく撫でてくれる。
年は僕と同じなのになんで…彼は強いんだろう。いいな僕も彼みたいに強くなりたい。
次もその次の日もいじめっ子達から僕を助けてくれた。
正義感の強い彼だから、僕みたいな弱い者をほっとけないのだろう。
知ってる。
知ってて
わざと
苛められてるんだ。
「…ったく…最近、また怪我が増えてきたんじゃないのか?」
そう言って傷口に絆創膏を貼ってくれる。
『す、すみません…僕が弱いから』
「どーするんだよ…俺、3日後にここから出るんだぜ?」
『………え?』
長い沈黙の後、やっと言葉が出た。
まって、聞いてないよ。なんで?
そう聞きたいけどうまく言葉にならない。
固まる僕をみてため息を一つし
「そーなると思ったから言えなかったんだ。俺を引き取りたいと申してくれた人がいたんだよ」
『っ……お別れなんて嫌です……行かないでくださいっ僕は……独りじゃ何も出来ない』
涙が少しずつあふれ出す。
心が潰れてしまいそうだ。如何したら……彼を繋ぎ止めることが出来る?
答えはすぐに思いついた。
『…閉じ込めればいいんですよ』
「……え?」
困惑する彼を壁に思いっきり突き飛ばす。
そして、床に置いてある分厚い本で彼の頭を気を失うまで叩いたんだ。
『ふふ…君,…これでずっと一緒。後は縛るだけ』
早く目が覚めないかな。きっと喜んでくれる。少し動きは制限されるだろうけど、僕と一緒ならいいよね?満足だよね?