第5章 *赤い瞳の奥に♀(セト)
言葉は通じてるのに、会話が成り立たない。
ポタリとセトの額から汗が落ち、その汗が私目尻にたまった涙と混じり重力に従い地面へと濡らす。
「はっ…」
余裕のないセトの声が耳に届く。
(な、中はやめてっ!!)
「大丈夫っすよ…俺等で一緒に育てよ?」
悲痛な叫びも虚しく、中でどくどくと子宮に向かって放たれる精子たち。
それでも抜くことはせず、また腰を動かし始めるセトに
朦朧とする意識のなか揺さぶられる
この人にはもう言葉は届かない。
揺れる視界で涙で滲む世界に
二つの赤い光だけははっきりと映っていた。