第5章 *赤い瞳の奥に♀(セト)
(貴女視点)
時は遡り数時間前のこと
「え?痴漢?!」
『うん…多分…』
『最近始めたバイトで、電車を使うようになったんだけど…
…触られて…っ…し、車両変えても、時間を早めても必ず触ってきてね…こ、怖くてっ…声も出せなくて』
最近、団員も増えたことだしセト一人じゃ
家計は火の車…ということで私も始めたバイト。
セトはもう1つ増やせばなんとかなる…と言っていたけれど
そんなことさせてたら、いつかセトが倒れちゃう…ということで無理矢理了承を貰い…始めてから調度2ヶ月たったある日から必ずといってもいいほど、電車に乗れば後ろにいて下から上を舐めるような視線を感じるのだ。
それ以外は特にないんだけれど…それだけでとても怖くて…だけど勘違いの可能性もあると思いそのままずるずると解決策は見つからないまま過ごしていた。
バイトも慣れ始め、気がつけば4ヶ月。あの嫌な視線はなくなることなく感じるまま。
今日もバイトが終わりいつもの視線を感じるもあと一駅
と我慢してると
初めて、服越しに感じた違和感。撫でられてるとわかった瞬間
あまりの恐怖に身を固まらせ駅につくまで指一本動かすことすらできず、
ただただ、されるがままにさわられていた。
扉が開いた瞬間、何かに弾かれたように逃げる。
改札口へ向かう人混みの中をかき分け、遠くで走らないでくださいと注意を受けながらも止められず、全速力で駅を出る。
『…っはぁ…はぁっ…嫌!!!』
「っ!」
改札を出ても速度はそのままに真っ先にアジトへ向かう私の腕を、誰かが後ろから大きな手で掴む。
まさか、さっきの人が追いかけて来たのかと思いその腕を振り払おうとすると聞き慣れた声が私を呼んだ。
恐る恐る後ろを振り向けば、同じく息を乱しこちらを心配そうに見るセトがいて現在進行形でアジトへ。