第4章 サプライズは程々に♂(セト)
『…じゃ、なんでシンタローさんと?』
「う…え、あ…」
『ちゃんと、話してくれないと…閉じ込めるっすよ?』
セトは訝しげに俺を見た。
その目に言い逃れは出来ないとわかり
正直に話すことにした。
視線をセトからテーブルに移すと、セトもまた同じようにテーブルを見る。
すると、ラッピングされた箱に気付いたのか
セトは起き上がりテーブルに近づき、箱を手に持つ。
『…これ』
「き、今日はホワイトデーだからなっ
言っとくけど、不味いから」
包装紙を丁寧に取る、セト。
箱をゆっくりと開けられ中にあるチョコレートを
しばらく見続けていた。
その間、変な緊張が俺を襲う。
今までより出来た方なんだが…
やはり形は変だったか?
やっぱ、男でハートはまずかったか?
やっぱ、包装紙に包んで渡すなんて…男としてどーよ?
少し女々しくないか?
なんて、負の感情はずしずしと心に溜まっていく…
何も言わないセトに、いい加減痺れを切らした俺。
俺も起き上がり、セトに近付くと
またぎゅっと抱き締められる。
『っ…ありがとう…大好きっすよっ!』
顔を上げればセトからキスの雨が降り注ぐ。
そーいや、孤児院で初めてチョコを渡した時も同じ事言っていたな……
『『っ…ありがとうございます…大好きです』』
ってその頃はその好きって意味がわからなくて俺もなんて適当に返してた。
「俺も大好き」
昔みたいに意味がわからないなんて事はなく、ちゃんと意味を理解した上でそう答えると何度も何度も軽く触れるだけの口付けがセトから降り注ぐ。最後に唇に触れるだけのキスをされホワイトデーは成功だなととても心地良く感じたのだった。
後日、チョコが原因でセトが倒れたのは
俺の知らない話。