第4章 サプライズは程々に♂(セト)
温度を調節しつつ、先ほどのように1つ1つ丁寧につくると
普通の美味しそうなチョコレートが出来たのだ。
綺麗にラッピングをし、後片付けを終えた後、明日に備え早めに寝室へと向かった
セトにサプライズとして隠し事せず、
ちゃんと話していれば勘違いされずにすんだのに
目覚ましのけたたましい音で目が覚める。
寝ぼけ眼でアラームを止め欠伸を1つする。
隣に視線を移せばセトがいて……
「せ、セト?!」
驚くのも無理はないだろう。
俺は一人で寝ていたし、隣を見ればセトはこちらを無表情で見ていたのだから。
前に何度か一緒の布団で眠ることはあったのだけれども、その時はいつも嬉しそうな表情でニコニコしていた。
それが、今はどうだ?
こんなに感情を表に出さないセトは初めてだ。
何も言わないセトに、一瞬人形のように思えて背筋が少しずつ冷えてくのをを感じた。
「…セト?」
もう一度、セトの名を口にする。
だが、やはり反応はない。
セトの頭を触ろうと手を伸ばした瞬間、
俺の手を力強く握りぎゅっと骨が軋むくらいに抱き締められる。
「セト、いたっ…い」
『…昨日、シンタローさんと何してたんすか?』
最近聞いた同じ質問をまた耳にする。
その間にも腰に回る腕に少しずつ力が増した。
『…俺、見たんすよ。がシンタローさんと楽しそうにしてるの…気付いてないと思ってたんすか?
……裏切りなんて許さない』
「ッ…ち、違…う!!俺、が…す、好き、なのはッ…セト、お前だけだっ!」
すぐに俺の気持ちを伝えなきゃ…そう直感で感じ、抱き締められることにより圧迫され途切れ途切れだがなんとか言葉を口にする。
抱き締められてセトの表情は見えないが、
先ほどの想いが届いたのか幾分、力が緩みセトの顔を見ることが出来た。
『……本当……?どこにもいかない?』
「……ああ、約束するよ」
不安でいっぱいの表情をした、セト。
とても悲痛なその表情を
俺がそうさせたんだと思うと
まるで俺の心を針で刺したようにチクチクと痛くなるように感じた。