第10章 女帝の誕生
智天使としてのアスモデウスは純粋で穢れも何もない誰もが羨む翼をもつ天使だった。
大天使ミカエル、ガブエルも彼を可愛がっていた。
故にやっかむ者もいた。人間界も天界も同じだった。
嫉妬の矛先がアスモデウスに向き、純粋な心を利用され穢れを追ってしまい天界にいられなくなり人間界に降りることになった。
アスモデウス:「私はこれからどうすれば・・・。」
途方に暮れる彼を助けたのは堕天使ルシファーだった。
ルシファー:「可愛い天使ちゃん、君はどうして人間の世界にいるんだい?」
アスモデウスはルシファーの姿をみて驚く。
初めて会う人間だと彼は思っていた。
ルシファー:「可愛い天使ちゃんは僕を人間だと思ってるんだね。僕も君と同じ天使だったんだよ。昔の話だけれど・・・。」
アスモデウスは恐る恐る彼に声をかけた。
アスモデウス:「貴方は、どうして僕が天使だと分かったのですか?天使だったとおっしゃいましたが、僕のように翼が一つなのですか?」
ルシファー:「そうだね。ここではその姿は目立つから僕の家で話そうか。」
ルシファーはアスモデウスを自分の屋敷に招いた。
アスモデウスは自分に起きている事実が受け入れられず戸惑いを隠せずにいた。
アスモデウス:「どうして神様は僕の言葉を信じてくださらず、僕は何もしてないのに・・・。知らなかっただけなのに・・・。」
ぽつぽつ話すアスモデウスの言葉をルシファーは黙って聞いていた。
アスモデウス:「周りのみんなも食べていたから食べただけだよ・・・。」
ルシファーはぽろぽろと涙を流すアスモデウスをそっと抱きしめ、優しく語り始める。
ルシファー:「僕もそうだった。神の怒りに触れてしまい、翼をもがれた。君と同じだよ。そして人間界に落とされた。ここは、楽しいよ。刺激的で・・・。初めは怖いかもしれないけど。一人じゃないから。大丈夫。」
アスモデウスはルシファーに諭され落ち着きはじめた。
共に人間界で過ごし、人との接し方を覚え今はルシファーと会社を経営していた。
人の姿をしてはいたものの寿命が人間とは違う故、外見が変化しないことから時には化け物扱いもされた。
だが2人は気にすることなく、生活をしていた。
そんな彼らを崇める者も出てきた。
次第に人が集まり、彼らが国を作るまで時間はかからなかった。