第4章 自分の大切な人を心配させないように
エルヴィンたちがハンジたちと合流するほんの数分前。
「あ、エルヴィン分隊長!」
アリアは前から歩いてくる大柄な男に声をかけた。
斜め後ろに顔を向けていたエルヴィンが、アリアの声に気づいてこちらを見た。
「アリア、もうランゲとは別れたのかい?」
「はい! 文通の約束をしました!」
「そうか。……それで、どうした?」
エルヴィンの前で立ち止まり、アリアはこれから実家へ戻ること。そのための外出届をもらいたいことを伝えた。
話しながら、アリアはエルヴィンの横から姿を現した男を見つけた。
「リヴァイさん! こんにちは」
「あぁ」
つい数日前、アリアが立体機動の訓練中に助けてもらったのだ。
それ以来、すれ違えば挨拶をするくらいには親しくなれた、と思う。
無愛想だが返事をしてくれるリヴァイにアリアはちょっと嬉しくなる。緩む表情を引き締めてエルヴィンを見上げた。
「……あぁ、もちろんだよ。外出届を出そう」
かすかに驚きの表情を見せたエルヴィンは、しかしそれをすぐに引っ込めて頷いた。
「ありがとうございます。それでは、失礼します」
アリアはエルヴィンとリヴァイにそれぞれ頭を下げ、2人の横を通り抜けた。
エルヴィンから許可も取れた。
心の整理ができておらず、アルミンやエレン、ミカサからの手紙に返事ができていなかった。きっと心配させているだろう。
(急に会いに行ったらどんな風にびっくりしてくれるかなぁ)
祖父も喜んで出迎えてくれる。アルミンはびっくりしすぎて泣くかも。
(ふふっ)
アリアは心の中で笑いながら、軽やかな足を動かした。