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雨上がりの空をあなたと〈進撃の巨人〉

第6章 お前が雨に怯えるのなら



 冬の間に積もった雪は太陽の温もりによって溶けていく。
 土の下にこもっていた虫たちは姿を見せ始め、人々の顔にも笑顔が増え始める。
 春とはそんな季節だ。

 アリアはグリュックの上で身を伏せ、全速力でエルヴィンの元を目指していた。今、アリアたち調査兵団は第25回壁外調査を行なっている。


「エルヴィン分隊長!」


 純白の愛馬にまたがったエルヴィンが振り返る。アリアの焦りの滲んだ声にナスヴェッターも不安そうにアリアを見た。


「次列3・索敵支援班がほぼ壊滅状態。奇行種の多数出現が原因だと考えられます! このままでは奇行種が陣形の内部まで侵入してくる恐れが」

「アリア、ナスヴェッター、増援を連れて行け」


 アリアの報告のすべてを聞かず、エルヴィンは迅速に指示を飛ばした。
 不安がっていたナスヴェッターの表情が引き締まる。アリアも唇を結び、頷いた。


「行こう、アリア」

「はい!」


 同じ分隊のメンバーを2人連れ、アリアたちは赤い煙弾がひっきりなしに撃ち上がっているほうへ馬の頭を向けた。


「グリュック、お願いね」


 再びグリュックに身を伏せ、アリアはナスヴェッターの後を追った。




「奇行種3体視認、右から6m級、9m級、5m級です!」

「僕とアリアで9m級をやる! 残りは5m級から順次倒していけ!」

「「了解!」」


 ナスヴェッターと目を合わせ、互いに頷く。
 まずはナスヴェッターが巨人のアキレス腱を切り落とし、歩行不可能となった後アリアがうなじを削ぐ手筈だった。


「9mは俺がやる」


 そのとき、後方から落ち着き払った声が聞こえた。

 アリアたちを無視し、陣形へ進もうとする巨人の前にだれかの人影が身を躍らせた。


「リヴァイさん!」


 思わずアリアがその名を呼ぶ。
 ナスヴェッターはリヴァイを見ると、すぐさま指示を変えた。


「アリアと僕で6m、ほかは5mを討伐しろ!」


 言った瞬間、ナスヴェッターが馬上から軽やかに飛んだ。


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