第1章 夕暮れ時
「あなたが受け入れてくれないから・・。」
王室のプライベートジェットに乗りオーブへ向かう。
各国の首脳会議と、平和の祭典というなのパーティーが開かれるのだ。
イリスのパートナーとしてアウローラも出席する。
明らかにやつれ、一層ほっそりとした彼女をかけらも心配しようとしない。
もはや期待もしていなかった。
彼を見つめる瞳にもはや光はなかった。
彼が大きなため息をつく。
「体調が悪いならこなくてもよかったのに。あなたの妹にパートナーを頼むこともできるんですから。オーブに行ったら休んでください。」
それが目的だろうに。
あれほど愛していたのに、彼が全てだったのに、生きる意味がなくなってしまった。
パーティーの時だけ手を取ってもらえるのがどれほど嬉しかったか。
ダンスの時、いつもより彼の近くに行けるのがどれほど幸せであったのか、彼は知らないのだろう。
「はい。」
できるだけ惨めな姿は見せられないと、凛とした声で返事をする。
それを彼は面白くなさそうに一瞥するだけだった。
「パーティー会場の護衛?でありますか??」
シン・アスカは不満そうな声を出す。
「いや、シンは護衛じゃなくて出席する方だ、護衛はもっと下っ端だ。」
イザークが眉間を抑える。
よくわからない人選をされ、パーティーなどと無縁な人物まで出席しなければならないらしい。
それを引率するというだけで頭が痛くなる。
「でも、俺、行ったことないですよ?」
「わかっている・・。」
どうしたものか、こういうのはディアッカに任せた方が一番いい。
「出席するやつを集めて、ディアッカの元に集まれ。」
「キラさんとかアスランじゃないんですか?」
「キラ・ヤマトはパーティーなんぞに慣れてないし、アスランはわかってるようでなんもわかっとらん。」
「へー、アスランって微妙なんですね。」
「あいつはただの機会オタクだ。人とうまく関わることなどできん」
随分な言われようだと思うが、否定はできない。
「はーい、わかりました!」
イザークのイライラがピークなのを感じ取ってシンはそそくさと隊長室を後にした。