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崩れる花

第4章 氷の心を溶かすのは


「離しはしない。もう一度言う。一緒にプラントに来てくれ。」

彼の真剣な瞳に心が揺れる。
もう一度誰かを信じるには心が枯れすぎた。

「わ、私・・・。」

涙が溢れて来る。
もし、また捨てられたら。
もし、嫌われたら。
もし。これが全て嘘なら・・・。

「アウローラ・・・・。」

彼の声を聞いて弾かれたように体が反応する。

「いい子だ。」

無意識のうちに抱きついたのだ。
ポロポロと涙が流れる。
その様子を愛おしそうに彼が眺めていた。

あのあと、彼の抱えられながら木の下に降りる。
コーディネーターの身体能力のすごさを改めて感じる。

「どうして、私なの?」

「は?」

彼に抱かれながら、恐る恐る質問をする。

「どうしてだろうな。その凛とした立ち振る舞いと、今にも崩れ落ちてしまいそうな儚さだろうか?」

彼の言葉は少々恥ずかしく感じる時がある。
それも彼の整った顔立ちのせいでなんとかなっているが。

「初めはただのお嬢様かと思ったが、全くそんなことなかったな。バルコニーから二回も飛び降りるし。」

そっとアウローラの手を握る。

「俺はこんな思いさせない。」

アウローラの手袋を外し、その傷を優しく撫でる。

「気づいていたの・・・・。」

誰も気づいてくれなかったのに。
胸が締め付けられる。

「アウローラ??」

頰に暖かい雫が垂れる。

「アウローラ・・・。」

泣いている彼女の顔を隠すように抱きしめる。
どうして、誰も彼女の心見てやらなかったのか。
どうして、ひとりしたのか。

「安心しろ・・・。ずっとついててやるから・・・」

声も出さず泣くアウローラを悲しい目で見つめながら強く、強く抱きしめた。
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