第4章 氷の心を溶かすのは
部屋に戻りたくないといった彼女をイザークの部屋に案内し、任務に戻る。
「すまない。まだ任務の時間なんだ。」
「ええ、わかっています・・・。」
いつものように置いてかれる。
ただいつもと違うのは、彼がちゃんと戻ってきてくれると言うこと。
彼が私を大切にしてくれると言うこと。
「愛してる・・・」
軽くキスを交わたあと、任務に戻っていく彼を眺める
何やらもめている声で目をさます。
扉の外で男が言い合いをしているらしい。
アウローラはそっと耳をすます。
「ここにいるんだろ!!」
「いるかいないかをあなたに伝える必要はありません。」
声を聞いて全身が凍りついた。
イリス様、なぜここに?
「彼女は私の婚約者だ!!まさか?姦通していたのか?なるほどな!彼女が急に婚約破棄を言い出すわけだ!」
「はじめに言い出したのはあなたでは?それにどれほど彼女を貶めれば気が住むんだ??」
感情のまま叫ぶイリスとは違い、イザークは怒りながらも冷静に対処している。
「婚約を解消したと堂々と宣言したではありませんか?」
「だが!彼女は私のものだ!!彼女が私の元から離れるのは許さない!!!」
「そこまで思っているなら!なぜ彼女を突き放すようのことをしたんだ!!彼女は・・・。お前をちゃんと愛していたというのに!!」
彼は壊れたように喚く。
なぜ今更になってそんなことをいうのか。
「お前には関係ない!!!」
「ならこれ以上言うことはありません。お引き取りを。」
イリスからは焦りを感じる。
いつこの扉を蹴破ってこないか、ずっと胸がドキドキしてる。
「あいつの血が!血が必要なんだ!!先先代代皇后の血が!!」
体がこわばる。
彼は知っていたのだ。
私の秘密を。
「あいつとの子ができればいい・・。そうだ!!子供ができたら返してやる!だから!!」
パンっと乾いた音が響いた。