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崩れる花

第3章 ガラスの中の真実


そうか、彼が優しくしてくれた理由には理由があったのか。
胸がチクリと痛む。
何も考えたくなくて布団に入る。
これからどうしたらいいのだろう。
もう、スカンジナビアに居たくはない。




俺は昨日何をした?
酔った勢いで臭いことを口走った気がする。
しかし、昨日の彼女は本当に美しかった。
地球には様々な神話があって面白い。
来たついでにとついついその地方の神話や伝説を調べてしまう。
そのせいだろうか。
昨日の彼女は本当に女神のようだと感じた。

よく人ではない美しい存在を抱いて、穢れさせ地上に堕とすという話があるが。
いやいや、何を考えているんだ。

その美しさを手に入れたかった。
穢してしまいたいと思った。

「重症だな・・・。」

なんとも思ってなかった彼女が頭から離れない。

各国の首脳会議も終わり、いよいよ最終日。
この日は盛大なパーティーが開かれる。
イザークは彼女と出会う最後のチャンスだと考えた。

「隊長ー!!!」

しかし、今日は非番ではない。
勤務日だ。

「どうした、シン?」

「隊長私服で警備ですって。俺がやってたんすど、難しい話わかんなくて。隊長の方が適任だと思って変わってもらったんです。」

キラキラとした笑顔でシンが走ってくる。

「わかった。」

確かに、シンには遠回しな言い方は苦手だ。
イザークも自身も得意ではないが、小さい頃からいる世界だ。
いやでも慣れた。

「お願いします!!!」

シンがピッしとした敬礼を見せる。
軽くそれに対して敬礼を見せると、早足で着替えに戻る。
彼女に会えるかもしれない。


結局、婚約解消という話だけ決まりその後どうするかは未定のままになってしまった。

「スカンジナビア王国、王太子入場!!」

古い格式に従い位の低いものから入場する。
長年愛した彼の隣には愛らしい妹が緊張した面持ちで立っていた。
会場がどよめく。
正式なパーティーで紹介されるのは初めてだ。
厳密にいうと、私の体が弱いせいの代理だと一言断りがあった。

”どういうこと?”
”婚約が解消されたのか?”
”だからここにいるのね”
”可愛らしい人ね”
”あそこよ、あの人。捨てられたのかしら?”

ヒソヒソと話しているが全て耳に届いてくる。
ここで取り乱したら彼の思う壺だろう。
毅然とした態度で微笑んだ。
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