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崩れる花

第3章 ガラスの中の真実


掴んでいた男の腕を拭き剥がし、後ろから抱き寄せられる。

「恥ずかしくないのか?そんなことして。」

「誰だよお前??お前に興味ないんだけど。」

急に柄が悪くなる。

「父親の権力で威張って恥ずかしくないのか?」

「うるせー!黙れ!!」

図星で顔を真っ赤にして怒り出した。

「行くぞ!!」

これ以上詰められたら嫌だとばかりにそそくさとさって行く。

「大丈夫ですか?」

薄着で男性に密着されたことがなく頰に熱が集まる。

「え、あ、はい・・。」

声が上ずってしまい、余計恥ずかしくなる。

「まったく、会うたびにトラブルに巻き込まれてるな。」

「すみません・・・。」

「体調は良くなりましたか?」

優しく笑いかけられドキッとしてしまう。

よく考えれば外交やビジネス的な立場でしか人と喋ったことがない。
そのフィルターがなければ恥ずかしくてどうしたら良いかわからない。

「大丈夫か?」

「はい・・・。」

顔を覗き込まれて恥ずかしくなる。

「今日も一人か?」

「ええ、陛下に連れて来てもらったんですけど・・。忙しい方なので・・・。」

「そうですか、お気をつけくださいね。」

面倒なことは関わりたくないとそのまま去って行った。

またパラソルの下に座りなおしまた海を眺める。


「アウローラ、こっちに来なさい。」

あの日以来、スカンジナビアの王はそばにおくようになり、イリス様から遠ざけてくれるようになった。

それが気に入らないのか、遠くで睨みつける彼をよく見た。
一度好きになった相手だ、少し心が痛む。

「アウローラ、食べてるか?」

今日は立食パーティーだ。
明日からは各国の代表での会議が始まる。

このどんちゃん騒ぎもあと少しだ。

少し酔いが回ってベランダに出る。

「父に何を喋った。」

夜風に当たっているとイリスが入って来た。


「・・・・・王太子殿下にご挨拶申し上げます。」

「何を喋ったのか聞いてるんだ。」

「特に何も、婚約を破断にするという内容をそれとなく伝えただけです。」

つかつかと近づくと私の肩を強く掴んだ。

「嘘をつくな。いつもいつも!!」

肩を掴んだ手にさらに力が入る。

「お放しください・・。」

「イリス様ー!」

そこに妹、アンネが入って来た。
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