第3章 ガラスの中の真実
昨日の夕ご飯から昼まで、やせすぎだとずっと何かを食べさせられた。
お腹がいっぱいで動けない。
海に連れ出され、アスハ家のプライベートビーチでパラソルの下で一人でいる。
各国の要人が毎日にようにパーティーをしていて良いのだろうか。
少し不安になる。
水着になるのが恥ずかしく、着てみたものの薄いショールを羽織り、見えないようにしている。
多くのカップルが楽しそうに遊んでいるのをまぶしそうに眺める。
ところどころに子供もいてほっこりする。
「失礼、先客がいましたか。」
後ろから声が聞こえ振り向く。
知らない男性が二人いた。
「いいえ、お構いなく。」
特に気にすることなくもう一度海を眺めなおす。
「初めまして、今日はどこから来られたんですか?」
どうやら休みに来たわけではないらしい。
「・・・・スカンジナビアから・・・。」
「へー!実はこんなに綺麗なのに一人でいるのが気になってしまって。」
「誰か一緒に来た方はいらっしゃらないんですか?」
この二人はどうやら私に話しかけに来たらしい。
答えるのも億劫で黙っていると彼らはもっと話をまくし立てる。
「あっちでお酒飲んでいるんですけど行きませんか?珍しいワインが開けられてるんですよ。」
「少し飲んで来たんですが絶品でしたよ、香りが素晴らしいですね、鼻から抜けてく香りが・・。」
二人は私が喋らないせいかベラベラと良く喋る。
「あっち行きましょう?」
腕を取られ思わず手を引く。
「やめてください。」
彼らを睨みつける。
「なんだよ、いいのかそんなこと言って?俺の父親が何してるかわかっているのか?それを知った上で言ってんのか?」
急に態度が変わった。
自分の立場で脅すならまだしも、父親の立場で脅してくるとは。
めんどくさいと立ち上がる。
「待てよ!!」
男がムキになってまた腕を掴む。
手加減せずに掴んできたため、思わず顔が歪む。
「黙ってついてこいよ。」
距離を詰めてくる。
「いやっ・・・。」
「おい、何してる?」