第3章 ガラスの中の真実
「体調はどうですか?今も少し体調が優れないようですが。」
アウローラは立ち上がり紅茶を用意する。
「そうですか、体がとても軽いですし、特に体調が悪いとは思わないですが。」
色素の薄い髪が動くたびにさらさら動く。
「どうぞ」
非の打ち所のない所作に驚く。
あの夜であった女性と同一人物とは思えない。
お互い会話は弾まずに、時間だけがすぎた。
30分くらい経った頃、やっと話し合いが終わったらしく部屋に戻れた。
簡単に挨拶をお互いにしてそれぞれの別れた。
「お話ししたいことがあります。」
「何かな・・?」
「イリス様、王太子殿下との婚約についてです。」
「待て・・・。」
こめかみお抑え、神妙な顔をする。
「お前たちが不仲なのは薄々気づいていた。だが、そこまでとは思わなかった。」
「お許しください・・・。もう元には戻れません。家を力につけたければ妹がいます。王太子殿下とも仲が良いそうですし・・・。
「アウローラ・・・。こっちにおいで。」
「陛下・・・。」
大人しく彼の隣に座る。
「かわいそうにこんなに痩せて・・・。」
アウローラの手を取り、優しく撫でる。
「お前をあいつの婚約者にしたのには理由がある。」
「存じております。私の家が・・」
「違う、お前の家は関係ない。」
悲しそうな瞳でこちらを見つめる。
「家なんてどうでも良い。」
「どういうことですか?」
「今日は部屋に戻りなさい。」
今まで優しくしてくれるのは婚約者であるからだと思っていた。
何か大きなものを見落としていたような気がする。
「部屋に送ろう。」
彼が立ち上がり、アウローラの手を取る。
「い、嫌です・・。戻りたくありません。」
無意識にい言葉にしてしまった。
「あいつに何かされたのか?」
「いえ・・。なんとなく戻りたくないのです・・。」
「そうか・・。でわ、私の隣の部屋にいなさい。夕飯を食べようか。最近痩せたからな。」
鼻奥がツンとする。
一人だと思っていたがもしかしたら私を愛してくれている人がいたのだ。
それに気づくのが遅すぎた。