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崩れる花

第2章 水の中


陽の当たりにくい部屋で、外が眩しく見える。

窓際に座り、雲が流れているのをぼうっと見つめる。

外からは華やかな声が聞こえる。
ガーデンパーティーでもあるのだろう。

イリスのパートナーとしてパーティーや式典に参加したことはほとんどない。

何かしら理由をつけていつも妹を連れて行った。

妹は年のわりに大人びている。
コーディネーターは成長が早い。
もう立派な女性なのである。

そんな妹をパートナーとして連れて行くのはいつも不安だった。
その不安は見事的中した。

私よりもお似合いかもしれない。
天真爛漫で誰からも愛される彼女。
私も彼女のことが好きだ。
だから憎めない。

大好きだったイリス様と大好きな妹をが幸せになるならこれでいいのだ。
きっと妹になら私のように乱暴しないだろう。

彼に対する恋心は捨てたはずなのに、少しでも望みがあると心が踊ってしまう。
そんな自分に呆れてしまう。

「婚約破棄に同意したのに・・。」
どうして開放してくれないのだろう。

苦しい・・。

胸が締め付けられる。
瞳に涙がたまる。

相変わらず外からは賑やかな声が聞こえる。
まるで私とは正反対だ。

若草色のワンピースに着替え白いツバの広い帽子をかぶる。

誰も頼る人がいないこの世界で、どう生きていけばいいのだろうか。
家も頼れない、私の好意的だったのはイリスの父、スカンジナビアの王だ。

一日遅れでオーブに入ることを知っている。
彼になら話が通じるだろう。

ロビーに降りたところに使用人がいたため、スカンジナビアの王の居場所を訪ねる。
すぐに取り次いでくれ、部屋に案内される。

「国王陛下にご挨拶申し上げます、」

扉が開いたのと同時に、挨拶をする。

「相変わらず完璧な挨拶だな。少し痩せたか?」

彼が声をかけたのと同時に顔をあげる。

そこには彼だけではなく、オーブの代表、カガリ・ユラ・アスハとその護衛、アスラン・ザラ、そしてプラント議長ラクス・クラインそしてまた護衛のキラ・ヤマトとあの夜出会った銀髪の男がいた。
ラクス・の護衛をしてるということはプラントでかなりの地位があるのだろう。
そんな人物を知らないとは、まだまだ勉強不足だったと反省する。

「ああ、私の息子の・・」

「お邪魔でしたら、また出直してきます。」

王の言葉を遮るなど、不敬だと言われても仕方のない行為だ。
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