第1章 私の世界
「なか…ま?」
そう言うと、ホストな人が私の点滴の手を取り
「はじめまして子猫ちゃん、僕は新宿の歌舞伎町でホストをやっています伊弉冉一二三と言います。
以後お見知り置きを。」
そう言って名刺を渡してきた。
そこへ、「一二三!妹さんに失礼な態度をとるな!」
と、赤髪の人がお辞儀をしながら謝ってきた。
「はじめまして、僕は会社員をしてます観音坂独歩と言います。
一二三が失礼をしてすみません。」
そうペコペコ頭を下げる赤髪の人は、昔お兄ちゃんがお土産でくれた起き上がり小法師みたいだった。
「さ、独歩くんももういいですから」
そう窘めるお兄ちゃんはどこか微笑ましそうだった。
「お兄ちゃん…仲間って?」
そう聞くと、お兄ちゃんは答えた。
division rap battle
それが中央区で今度行われるらしい。
それは、昔お兄ちゃんがやっていたラップという大会に出る話だった。
そして、今はこのふたりとチームを組んでやるそう。
「ラップバトル…」
なんだか、とても遠い世界のようだった。
中央区が統辞してることも、私はテレビでしか知らない。
だから、ほんとになにがなんだがわからないのだ。
幸い私が時代についていけれるのは、話してくれるお兄ちゃんと、毎日来る本だった。
物語だけじゃない、色々な本。
全部お兄ちゃんが用意してくれた。
そして、今はなれないけどパソコンで自分も執筆している。
それが世に出てはまだいないが、病気が治るとも思えないし。
やることも無いから。
「頑張って。」
そうお兄ちゃんたちに答えるしか無かった。
私の知らない世界で生きてる人たちと、これ以上関わりたくなかった。
どんどん私が惨めに思えるから。
「瑠璃さん、宜しければ
今夜一二三くんのお店に行きませんか?」
何を無茶な…。
「私お酒飲めない。」
未成年だし薬もある。
到底無理な話だ。
「子猫ちゃん、そんなに拒絶しないで?
僕たちと忘れられない夜を過ごしませんか?
未成年というのは先生がいるのでお酒の提供はもちろんしませんし、その場にいることも本当はダメですが、社会勉強の一環ということで1時間の貸切をさせて頂いてます。」
そう、優しく言う一二三さんに
「帰ってよ。
別の世界の人間なんかいらない。」
そう、布団に潜って答えた。