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新宿三者の可愛がられ妹

第1章 私の世界


私の世界は白い世界。
生まれて15年ずっと白。

白の服を着た人達、白い壁。
ツンとするアルコール綿の匂い。
点滴の管。

それが私のいつもの生活。
「はぁ…やだな。」
移動はいつも昼の太陽が傾いてから。

「瑠璃さん。」
そう呼ばれても、反応なんてしたくなかった。
それがたとえお兄ちゃんでも。

都立新宿病院。
それが私のおうちみたいなもの。

「瑠璃さん。」
私は、ベッドの布団から顔を出して答える。

「お兄ちゃん何?検査なら終わったよ。」
そう言って面倒くさそうに話す私にお兄ちゃん
神宮寺寂雷は答える。

「お疲れ様です。
今日は、少し一緒に出かけないかと思いまして。
外出許可を出しに来たんです。」

そう言っても、今はまだ昼の太陽が傾き始めてすぐだ。
アルビノの私が出たら、危ないことくらい優秀な医者のお兄ちゃんならわかるはずだ。

「やだ。
太陽まだ出てるもん。
絶対火傷する。」
そう言って布団をかぶり直すとお兄ちゃんは。

「そうですか…せっかく紹介したい人がいたのですが。
では、その方をお呼びしたらあってくださいますか?」
そう言って被った布団越しに頭を撫でてくれた。
あぁ、お兄ちゃんもそういう人を連れてくるのか。

幼い頃に私を捨てた実の親。
化け物だと言って、面倒みれないからと産んですぐ消えたらしい。
それを不憫に思った、研修医のお兄ちゃんが
妹みたいに育ててくれて面倒を見てくれた。
病院にしか居場所がなかった私にも、お兄ちゃんが毎日顔を出してくれた。
非番の時も、こうやって今みたいに来てくれる。
本当の親子みたいに思ってた。

「なに?彼女でもできたの?
どうせうちら実の兄妹じゃないし会わせる必要ないじゃん。」
ぶっきらぼうに言う私にお兄ちゃんは困っていたようだった。

「いえ、一応男性なのでそれはないですよ。
それに、紹介したい理由はもう一個あります。」
そう言って、入ってくださいとドアに向かって声をかけると
ガチャっとドアを開ける音がした。

布団をとって少し見ると
そこに居たのはスーツで金髪、いかにも本で読んだようなホストっぽい人だった。
もう1人は、赤髪でスーツの人だけど
いかにも疲れてますって感じの人だった。
「この人達は?」
やっとベッドから起きてお兄ちゃんの方をむくと。
お兄ちゃんは一言「仲間です。」
そう言った。
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