第4章 初めての歌舞伎町
「やぉ、こんばんわ子猫ちゃん。
こないだは失礼なところを見せてしまったね。」
そう言って待ち合わせ場所にお兄ちゃんと向かえば金髪…一二三さんは既に居た。
「今までごめんなさい。
失礼な態度ばかり。」
そう言って、非礼を謝ると
笑顔で気にしなくてもいいと言ってくれた。
「さ、今夜は幸せなひとときを過ごそう。」
そう言って手を取ってくれるが、私は緊張でお兄ちゃんから離れられなかった。
「緊張してるのかい?」
そう穏やかに聞いてくれる、一二三さんに恐る恐る
手を伸ばすと、優しく握ってくれた。
暖かい…そう思った。
「あ、あの…点滴の跡とか…。」
そう言いかけて、一二三さんは自分の口に指を充てる
と、シーのポーズをした。
「それは気にしなくていいよ子猫ちゃん♪」
そう言って、お兄ちゃんの方をむくと
「先生も、今宵は楽しんでください。」
そう告げた。
それから、10分ほど待つと
息を切らしながら独歩さんが来た。
「すみません!残業が入ってしまって!」
「独歩くん、お疲れ様です。
気にしなくていいんですよ。」
そう答えるお兄ちゃんにずっとペコペコしてる独歩さんはやっぱり起き上がり小法師みたいだった。
「可愛いですね、よく似合ってます!」
私の方を見てそう答える独歩さんは、決してお世辞とは思えなかった。
あぁ、何となくこの人たちを選んだお兄ちゃんの気持ちがわかった気がした。
「そーだ、せっかくだしゲームセンターでも行きますか?」
そういったのはお兄ちゃんで。
初めての経験を色々させてくれるらしい。
「いいですね、先生。
お店までまだ時間ありますし、行きましょう!」
二言返事で一二三さんが私を連れてくれた。
ゲームセンターにはクレーンゲームやテレビゲームみたいなのがあって、ドキドキした。
好きなぬいぐるみを取ってあげようって、3人が珍しく盛り上がってるみたいだった。
色々見てる中で、私は気になるぬいぐるみを見つけた。
それは、金色の毛色のクマのぬいぐるみ。
それは、なんでか一二三さんをイメージした。
「お兄ちゃん…これがいい…かな?」
おずおずと指さすと、分かりましたと
コインを入れて取ろうとして、見事に2回で獲得した。
「取りやすい位置で良かったです。」
そういうとわたしにぬいぐるみを手渡してくれた。