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新宿三者の可愛がられ妹

第4章 初めての歌舞伎町


それから私は外を拒んだ。
外なんて知らなくても本やお兄ちゃんが教えてくれる。

お兄ちゃんのラップの活躍も、テレビで知った。
とてもかっこよかった。
そこにいる仲間が、今こうやって私に外を教えてくれようとしてる。

「お兄ちゃん…ちょっといい?」
点滴を引いて、私はお兄ちゃんの元に行った。

「おや、どうしました?」
カルテから目を離して私の方をむく。
いつもの優しいお兄ちゃん。

「…行ってみようと思うんだけど…。」
それだけ言うと、お兄ちゃんはびっくりしていた。
それもそうだ、あんな状況になれば普通は怖がるだろう。

「瑠璃さん…ほんとに大丈夫ですか?」
そう、改めて聞くお兄ちゃんは、すごく真剣な顔だった。

「あそこまでして外の世界教えようとしてくれてるし、それにお兄ちゃんもいるから。。。」
そこまでいうと、また優しい笑顔でお兄ちゃんは頭を撫でてくれた。

いくのは、明日、曇りの日の夜8時半から1時間だけ。
それを金髪にお兄ちゃんは約束してた。
それに対して金髪は、分かりましたと答えて
明日の待ち合わせを決めていた。

病院に迎えに来るのも簡単だが、せっかくなら外を楽しもうと言うのが、みんなの意見だったらしい。
少なくとも、私は初めてに近い外に、好奇心と緊張が入り交じった感覚だった。

その日は点滴を外すから、薬も手放せない。
それでも、何となくお兄ちゃんだけじゃなくて
あの二人に1時間任せていい気がした。


「お兄ちゃん…どうかな…?」
当日着替えて、お兄ちゃんの元に向かった。
絵本に出てきて一度着てみたかった花柄のワンピースに白のカーディガン。
ヒールは履けないから、ストッキングにローヒールの靴。

髪の毛は看護師さんが緩く結ってくれた。

「とてもかわいいですよ。」
そう褒めてくれるお兄ちゃんに、私は照れてしまった。
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