第3章 社会科見学は絶対しない!
「お兄ちゃん…」
あっという間に1個食べきって、残りの箱をちらりと見る。
言いたいことがわかったのかお兄ちゃんは
「明日また食べましょう。」
と、ナースに預けてしまった。
プクッとほっぺたを膨らませると、紅茶のキャンディを代わりにくれた。
「んむぅ…。」
「妹さん、プリン初めてだったんですね。」
そう、恐る恐る言う赤髪を睨んで
「なによ、悪い?」
そう悪態を着いてしまった。
「瑠璃さん、せっかく持ってきてくれたんですから独歩くんにはお礼を言わないと。」
頭を撫でながら促すお兄ちゃん
「…ありがとう…とても美味しかった。」
ぱあっと明るい顔になって、「良かったです」
なんて、言ってた。
食べ物に釣られるなんて、子供じゃないんだけどな。
コンコン
またノックがした。
もう分かってる
「どーぞ。」
そう言って入ってきたのは、スーツを羽織ってない
ビクビクオドオドした金髪だった。
「お、女の子…ひぃ…。」
その姿にふたりがどよめく
「一二三!何やってるんだ!スーツは!」
そういう独歩さん。
「い、いや。
今日は、スーツ無しで瑠璃ちゃんにあって
俺だって頑張れるところ見せれば、るりちゃんも社会科見学来てくれるかな…て。」
息をハァハァさせながら冷や汗にまみれて、震える金髪に、お兄ちゃんも処置をしようと近づいた。
「一二三くん、無理はいけません。
すぐに別室に行きましょう。」
その手を払い除けて、「大丈夫です先生」そう答える姿はとても大丈夫に見えなくて。
「なんで、そんな無理すんのさ。
たかが、病人ひとりのために。」
そういうと、冷や汗にまみれた顔で笑いながら
「外の世界を見せたいだけだよ。」
そう言って金髪は気を失った。