第3章 社会科見学は絶対しない!
「バカみたい…。」
運ばれる金髪を見て、私は呟いた。
それに反応したのは独歩さんだった。
「たしかに、一二三は馬鹿だし人のこと考えないし、スーツ着てると女たらしです。
でも、女の子が苦手な自分を変えたくて始めたホストでナンバーワンとって。
今じゃ新宿では名を知らない人はいないくらいの人です。
何を言って、一二三があんな馬鹿なことをしたかは僕も分かりませんが、あいつの努力を少し認めてやってはくれませんか。」
そういう独歩さんの目は、いつもの疲れた目ではなく
しっかりと私を見すえていた。
「わかった…」
そう言って、私は独歩さんから目を離し
「少し考えさせて欲しい。
行く行かないもそうだけど、色々と。」
そう言って退室を願った。
昔の私はもっと明るくて、本だけじゃなくて外に出ては外来の女の子たちと遊んだりもした。
室内だけだったけど、それでも良かった。
「瑠璃ちゃんは綺麗な肌だね、お姫様みたい。」
そう言っていつも明るく話してくれる女の子がいた。
「ありがとう…でも、…ちゃんみたいな小麦色憧れるよ?私はすぐ火傷になっちゃう」
そう羨ましそうに言う私に、ある日その女の子は外に出ようと言った。
「でも、お兄ちゃんがお昼は外出ちゃダメって。」
そういう私に、お友達を紹介したいと言ってくれたあの子。
好奇心の方が勝ってしまった。
その日は奇しくも8月の炎天下。
「この麦わら帽子貸して上げる!」
そう言って頭に乗っけてくれた麦わら帽子の感触。
少しキシキシしてて、痒かったのも覚えてる。
「じゃぁ、少しだけね?」
そう言って外に出た瞬間、私の皮膚は真っ赤になった。
「痛い…痛い…っ!」
そう言って倒れ込む私に、一緒にいた女の子は愚か
周りの大人たちでさえ、悲鳴をあげていた。
真っ赤に爛れていく皮膚、目からは涙がこぼれてそれも、沁みる要因となった。
遠くから「逃げるぞ!」
そういう男の子たちに連れられて女の子は消えていった。
お兄ちゃんに発見された時、私の皮膚は爛れて水膨れも出来ていたそう。
次の日から外来にも行かなくなった。
あの時逃げることを選択した女の子も許せなかったが、周りの大人たちも、看護師を呼ばずに逃げた。
それだけが悲しかった。
それから人を信用することをやめた。
本と、お兄ちゃんだけでよかった。
お兄ちゃんの言うことだけ聞いた。