第2章 エイプリルフール
「えーーーー。まじで?何時に出るの?
てか俺それ聞いてました?」
黒尾さんには………
「言って~~ないかな?」
というか言ってない。
「え、なんで?言ってくれれば一緒に出たのに」
「だからですよ。
黒尾さん、ここのところ終電続きだったじゃないですか。
それに今日以降もその可能性があるでしょ?だからです」
うーーーーん。
って。
「なんでこんなに帰るの遅くなるのカナ?」
「年度末と年度初めだからじゃないですか?」
ただ私は去年に引き続き、同じクライアントを担当してるから
私にとってはただの月末月初。
だけど今日は朝からちょっとやらなきゃいけないことがあるから、
久々のちょっと早めの出勤。
ちなみに黒尾さんとの今後は会社に報告済みだから、
普段は通勤電車までは基本的に一緒。
ただ、会社まで一緒に行くのはまだ気が引けて、
会社の最寄り駅からは別々に出社している。
「まぁそうなんだけど。
でもそういうことじゃなくて」
黒尾さんが言いたいだろうことは、なんとなくわかる。
そしてそうだったらなぁ、って。
もちろん黒尾さんの体調が一番心配だけど
あとは、私ももっと黒尾さんと一緒に過ごしたいって意味でも
もっと早く帰ってきてくれたらなぁ。って。
もっと話したいし、
コミュニケーション?とりたいし。
なんて思うけど、
ただそんなことは。ねぇ。
「それは黒尾さんが黒尾さんだからですよ」
「ん?どういうこと?」
「仕事ができるからってことです!
あ!ねぇ、黒尾さん!今日何の日でしょーか?!」