第4章 (その夜のお話)
「あ、ちょっと間違ったかも」
「何がですか?」
「んーーー?好き、よりもっと」
そしてまた、直接鼓膜へ
「愛してる」
それに思わず目を閉じる。
「そうでした。
私も結婚式の日よりも、愛が増してます」
「まじで?一緒じゃん」
「うん。一緒」
もう一度、キスをする。
頭を撫でてくれる鉄朗さんの手が心地良すぎて
どんどん力が抜けていく。
そしてそのまま
鉄朗さんの手がまた、私の身体に触れる。
「あーーーーヤベ。
今日ちょっと優しく出来ないカモ」
「久しぶりだからですか?」
「それもあるけど。
久しぶりに名前の声聞いて?」
「………我慢します」
「なーーんで?!我慢しないためのここじゃん?!」
…………。
子どもがいるとどうしても
その子中心の生活になってしまうし、
たぶん、それが普通。
だけど、そんな中でも鉄朗さんは私に対して
いつまでも同じように接してくれる。
"お母さん" だけじゃなくって、
"名前" として。
だから、私もいつまで経っても
鉄朗さんにドキドキしちゃうし、
鉄朗さんも、そう思ってくれるのかな?って。
普段、そんなこと考えない
というか、考える機会はなかなかないんだけど、
幸福の満月を見て
もれなく私たちにも "幸せをもたらして" くれたのかな?って。
海が好き
季節を感じるものが好き
そして、空が好き
ただどれも、数年前よりも日常が慌ただしくなって
ふと、忘れたまま通り過ぎてしまうこともきっとあるけれど。
だけどこうやって立ち止まると
そこに幸せが隠れていたりするから。
これからも、私が好きなものを
好きなままでいることができたらいいな。なんて
鉄朗さんの腕の中で
そんなことを思った。
--- end ---
(2021.5.9 に書いたお話!)
2021.7.18
こちらリクエストいただいたものです。リクエストありがとうございました!
黒尾さんと一緒に過ごしたいイベントや日常があれば、ぜひ(できれば詳しめに……!)教えてください~!