第4章 (その夜のお話)
「はい、どうぞ」
「ありがと」
ホットココアのマグカップを二つ、テーブルに置く。
「夜はまだまだ冷えますね」
「な?」
二人で温かいココアをすすりながら、
ホッとひと息
「そういえばなんか久しぶりですね」
「やっぱ4月は忙しかったな~」
毎年だけど、基本的に鉄朗さんの新年度は多忙。
というか社内が慌ただしい。
まぁ、しょうがないんだけど。
だから毎日、鉄朗さんの帰りは遅かった。
「いつも寝ててスミマセン」
「んーん。寝ててもらわないと困る。
家で一人で子供の面倒見させてゴメンな?」
「そのための時短ですし」
「たぶんもう落ち着くと思う」
「よかったです」
鉄朗さんに寄りかかる。
体温を感じて安心する。
鉄朗さんの帰る時間がずっと遅かったから、
こういう時間もものすごく久しぶり。
で、そのままスマホをさわる。
「へぇ」
「なに?どうした?」