第2章 エイプリルフール
エイプリルフールについて知識がないらしい二人で首を傾げる。
「え、けど黒尾さん
エイプリルフールとかすごい好きそうじゃないですか?」
「なにそれ?どこ情報?」
俺、お前の前でそんな感じ出してんの?って
ちょっとびっくりしてる。
「いえ、アキくんに聞いた高校生の黒尾さんは
そんな感じかな~?って」
「アイッツ………
何言われたの?たぶんその半分は俺じゃないから、たぶん」
「えーーー?
何って言われたらよくわかんないですけど」
「なに?俺の情報忘れちゃったの?」
「いや、そうじゃなくって………
あ!そうだ!はい!食べましょう!いただきます!」
都合の悪いことは誤魔化していくスタイル。
別に忘れたわけじゃない。
そう思うようなエピソードをすぐに思い出せないだけ。
ただアキくんにいろいろ聞いて思ったことは、黒尾さんもアキくんも
今と違って男子高校生だったということ。
いや、当たり前なんだけど
今の大人の黒尾さんとは違って、男子高校生の黒尾さん。
………いいなぁ
私も黒尾さんと同じ教室で高校生したかった。
あ、でもそしたら黒尾さんは
私のこと好きになってくれなかったかも。
それは困るなぁ。
「はい、準備ありがと。いただきます」
二人で向かい合って手を合わせて。
最近夜はなかなか時間が合わないから、朝のこの時間が幸せ。
「あ、で、黒尾さん!エイプリルフール!」
「てか名前とエイプリルフールって今まで何かした?というかあったっけ?」
「いや、実は4月1日に一緒に過ごすのは初めてなんですよ」
「そうだっけ?」
「そうなんですよ」