第11章 結局いつもそう。
それからリヴァイさんに此処がどういう場所か聞いた。
壁の中でとても危険な場所らしい。
ほぼ無法地帯化していて、犯罪者ばかりが住んでおり、地下街、という名で有名の様だ。
勿論、悪い意味で。
話を聞いてゾッとした。
私はリヴァイさんに会っていなかったら、今頃あの暗い所で死んでいたかも知れない。
リヴァイさんが今まで此処から出さなかったのも、きっと私が直ぐに殺られると思ったからだろう。
「オイ、大丈夫か。」
「はい………、」
私の顔色が悪くなったのか、リヴァイさんが眉をひそめて顔を伺う。
「お前には酷だが、お前にとって最も重要な話なんだが、」
「ダイジョウブです……。どうぞ。」
「お前は東洋人か?」
「と、とうよう…………?」
「分かんねぇか、クソッ。」
「とうようじん」って何だろう?
日本語の略は?
あっ!
「リヴァイさん!ことば、書く、ください!」
「なる程な。」
発音はドイツ語っぽいのに、文字は日本のカタカナを左右逆にするだけな所がこの世界の可笑しな点だ。
おかげで発音は出来ないのに、文字の読み書きはパーフェクトだ。
おかげで、何度も話をする時にすくわれた。
今回の様に。
リヴァイさんは慣れた手つきでサラサラと私の差し出したスケッチブックに書くと、くるりと返し、コチラに見せてきた。
《とうようじん……………、東洋人?》
「分かったのか?」
「あ、はい。」
「お前は、東洋人、なのか?」
「そう、ですね?」
「ハァ。」
私の知っている東洋人で合っているならば、だが。
要はアジア人か?って事でしょ?
リヴァイさんもそっち寄りじゃ無いの?
ハーフっぽい顔だけど。
「話を戻すが、ここらじゃ人身売買があるんだ。」
「じんしんばいばい」が何なのか分からなかったが、話を遮るのが嫌なのか、リヴァイさんはまたスケッチブックに書いてくれた。
「そして、東洋人は非常に珍しい。高値で売れる。特に女は。」
ゾクリ、
東洋人が珍しいこと自体に驚きなのに、高値でやり取りされるなんて。
私はとにかく神様に嫌われてるらしい。
信じて無いけど。
そんな立場でどうやって生活すれば良いんだろう……。
前より外が怖くなった。