第10章 許してね、
お世話になってる人を騙すのは嫌だ。
でも誰が知らない内に知らない場所に瞬間移動していた、なんてフィクションの様な話を信じるだろうか。
信じてもらえないことはいい。
私だってこんな事ならなかったら信じなかった。
いや、未だに信じれていない。
問題はその話をした後の事だ。
リヴァイさんは一体どんな行動に出るのだろうか。
彼との出会いを思いだせ。
血まみれだった。
彼の腹部からは確かに血が大量に出ていたのだ。
血が出ているのにも関わらず、彼はちっとも混乱していなかった。
つまり、此処は物騒な場所なんだ。
此処では大怪我をしても“大きな問題”として認識されていない。
もしかしたら誰かが人を殺すのだって当たり前の中に入っているかもしれない。
もし本当に此処がそんな場所なら、今まで騙していた事に腹を立てて私に危害を加えるかもしれない。
かと言って嘘を付くには此処を知らな過ぎる。
ヘタに嘘を付いて此処の常識に反していたらきっと問い詰められる。
記憶喪失なんて物語にありがちな展開も無理だ。
それをするには彼と共に生活し過ぎた。
結論、嘘を付いても付かなくても私の身の安全は保証されない。
あぁ、ごめんなさいリヴァイさん。
私はこんなに良くしてくれている貴方を信用できない。
自分の身が何処までも可愛いクズなんです。
何て答えればいいんだろう。
何を言えば正解なのだろうか。
どうしようどうしよう!