第1章 1
本音言っちゃえばほんとは。
あんなかわいい緋芽ちゃん、たとえ誰だろうと誰にも見せたくなかったんだけど。
「そう、口答えするところ!子供の頃はこんな生意気じゃなかった!」
「…………」
仕方ないなぁ。
「緋芽ちゃん」
カバっと布団を剥いで。
びっくりして隙だらけの緋芽の両手をシーツへと縫い留めて。
身動きなんてできないように上から跨った。
「また…っ!!もぅ、皇!!離しなさい!」
「やだ」
「皇!」
知ってる?
力じゃもう、緋芽ちゃんよりも俺のが上なんだよ。
「いつまでもそうやって機嫌悪いままなら、このままヤっちゃうよ?緋芽ちゃん」
「…………っ」
「けっこう俺、お利口に我慢してると思うんだけど。生意気だなんだってそんなことゆーならもう俺、我慢しないよ?」
ぐ、っと。
押さえつける両手に力が入って。
抵抗なんてさせないようにさらに力を込めた。
力では敵わない、ってこと、緋芽ちゃんに教えたくて。
つい本気で押さえつけちゃった。
真下で不安げに緋芽の瞳がおっきく揺れて、我にかえる。
「…ごめん、しないよ。安心してよ、緋芽ちゃん」
「…………」
「家族だもん、わかってるよ」
わかってる。
緋芽は。
血の繋がったお姉ちゃんで、正真正銘双子の姉。
体を繋げることなんて、出来ない。
「そんな顔、しないでよ」
哀れみの瞳で、見ないで。
そんな顔して欲しいわけじゃないんだ。
「皇」
押さえつけていた両手を離して、ベッドの上、緋芽に背中を向ければ。
背中に感じる、緋芽のぬくもり。
「大好きだよ、皇」
「…………」
「愛してる」
『愛してる』。
俺もだよ。
俺も緋芽が大好きだし、愛してる。
でも違う。
俺と緋芽の想いは、一緒なんかじゃない。
「俺も、愛してる。緋芽」
後ろから抱きしめる緋芽の両手を取って。
唇を重ねた。
そのままベッドへと緋芽を押し倒せば。
首へと両手をまわし、緋芽はこの行為を素直に、受け入れた。