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狂愛禁断

第2章 2



「はーい」


皇があたしとの時間優先してくれた。
してくれた。
けど。
もしいつか、皇が他の女に取られちゃったら…………。



ドクン




考えただけで、吐き気がする。






どうすればいい?
皇があたしから離れないようにするには。
どうすればいい?






そんな、時だった。







「お見合い?」
「ええ、はい…………。お嬢様も16におなりですから、2年後すぐに結婚出来るようにと旦那さまから」
「冗談でしょ」




皇は跡継ぎ。
女のあたしは、会社の有利になるような人のところに嫁がせるってわけ。
陳腐な時代劇みたいな話。
だけどいくらあたしが拒否したところで見合い話は次々と降ってくる。
結局。
親のスネかじりながら生活してるあたしにはなんの抵抗手段もないんだ。
その、夜だったね。



皇。






カタン、て。
小さな音で目が覚めた。
真っ暗な闇の中、目を開けようとして。




「緋芽」



あたしを跨ぐようにベッドを軋ませて。
皇があたしの口を塞いでいたんだ。



「お見合いするの?緋芽ちゃん」


泣きそうな声で、ポツリポツリと皇の声が聞こえる。
やっと目が慣れて来たところで。
皇と目があった。
瞬間。
ゾクリと、した。
いつもの、おどおどした頼りない目なんかじゃなくて。
むしろ。
支配する、側の。
獲物を狩る瞳。


ドクン
ドクン
ドクン



鎮まれ。
鎮まれ心臓。
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