第10章 嫉妬心
「五条先生とって恋人同士なん?」
が去った後、悠仁が僕に問う。
「…そうだよ。って言っても、昨日付き合ったばっかりだけど」
「そうなの!?おめでとう!」
「ありがとう」
屈託のない笑顔。裏の無い祝いの言葉に、怒りの矛先は宙を彷徨う。…分かっている。悠仁もも悪くない。
それでも煮えくり返る腸がどうにもならないのだ。
「…まあ僕らの事はいいからさ。悠仁にはこれからここで修行をしてもらう」
「おお……!」
「とは言っても、近接戦闘に関しては、悠仁は頭ひとつ抜けてると思うよ。今覚えるべきは、呪力のコントロール。そして、呪術に関する最低限の知識だね」
「へへっ」
「…どうしたの?」
「いやあ、やっぱ修行つけてもらうなら五条先生が良いと思ってたから嬉しくて。…俺は強くなりたい。最強を教えてくれ!」
強い眼差し。ああ…、こんな良い子に僕の醜い嫉妬心をぶつけることは出来ない。
五条は密かに、3度目のため息を吐いた。