第8章 君に触れる
「…は襲われたんだよ。どうして高専から1人で出て行ったの」
五条の問いには深く、表情に影を落とした。
「…言いつけを破ってごめんなさい。…また、迷惑をかけてしまいました」
震えた声で謝罪を零すの様子に、五条は悩ましげに表情を歪めた。
謝らせたかった訳じゃないのに。
「…違うよ、。迷惑だなんて思ってない。ただ、君が心配なんだ」
震える小さな手を、五条は握りしめる。
「……なんでか分からないけど、急にここから離れないとって思ったんです。高専の皆を巻き込んでしまいそうな気がして…。気付いたら、人の居ない林の中に逃げていました」
「……」
宿儺から向けられた強い執念に充てられたのか。
それとも……、
「朦朧とする意識の中で、伏黒君に運ばれた記憶があります。結局、五条さんにも家入さんにも……、皆に迷惑を掛けてしまいました。…ダメですね、私」
「……違うよ、」
「……このまま生きていても、また五条さんに迷惑をかけてしまいます。だから…」
「…だめ、それは違う」
の言葉を予期し、制止の言葉をかけ続ける五条に構わず、彼女は言葉を続けた。
「私を死なせてください」
そう言って笑みを浮かべるの表情は、酷く悲しげなものだった。