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カタルシス【呪術廻戦/R18】

第6章 亀裂


「報告いたします。先日、西東京市英集少年院、同運動場上空にて特級仮想怨霊。その呪胎を非術師数名の目視で確認がありまして。…緊急事態であったため、高専一年生3名が派遣され、…内1名、虎杖悠仁が死───…「あ?」…ひっ」

出張から帰って来て、第一に聞いた伊地知からの報告に怒髪天を衝く思いだった。

伊地知は顔を真っ青にして視線を彷徨させている。

「何。まさかまだ何かあんの」
「…それが、……今回のこの派遣で、さんも巻き込まれておりまして、怪我を──…」

ガタンッ!

立ち上がった勢いで、腰を据えていた椅子が大きな音を立てて倒れた。
その音で、伊地知は再び大きく肩を揺らし、言葉を詰まらせる。

「なんでが巻き込まれてんの?まさか、任務先に連れて行ったのか?」
「い…いえ!決してそのような事はしておりません!」

ならばどうしては巻き込まれたのか。いや、今はそんなことよりも……

「は?」
「えっ、」
「はどこにいんのかって聞いてんだよ」
「あ、現在は医務室で……」

伊地知の答えを聞き終える前に僕の脚は動き出す。
医務室の扉を勢いよく開けば、ベッドに寝かされたの姿が見える。

ゆっくりと近付けば、白い頬に手を当てる。温かい。生きている。呼吸も、浅めではあるが、繰り返し行われている。

一見、目立った外傷はない、……が、


「……何これ」

黒髪の合間に見えるの首筋に、痛々しく残った歯形らしきもの。

そこで漸く、伊地知が僕に追いついた。

「ハアッ、……ハァッ、……五条さ…」
「ねえ、何だよこれ」
「えっ」
「何この傷。誰に付けられたんだよ」
「そ…れは、」

「宿儺ですよ」

口篭る伊地知の声に被せて、恵の声が僕の鼓膜を揺らした。

「…恵」
「…落ち着いてください。さんの事に関しては、伊地知さんは何も悪くありません」
「…伊地知はとりあえず、悠仁の遺体を硝子の研究室に運んでおいて。その間に恵に話を聞くから」
「は…はい!」
伊地知は逃げる様にその場を離れた。


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