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カタルシス【呪術廻戦/R18】

第6章 亀裂



背後から聞こえた声に、再び身体は小さく震え出す。ゆっくりと後ろを振り返ると、その姿に大きく目を見開いた。

「・・・いた、どりくん?」
「残念だったな、今は小僧ではない」

そう言って嗤う彼は、虎杖君に似ても似つかない別の存在だった。

「・・・ん?お前、よく見たら純血じゃあないな」
「・・・え」
「鳴呼、あの男の血が混じっているのか。忌々しい」

そう言って、その存在は心底不機嫌そうに表情を歪めた。


「・・・血?・・・あの男?」
「なんだ、お前は知らんのか」

キョトンとした顔を浮かべる彼。
私は恐怖で頭を働かせる事が出来なかった。

「よいよい。お前の愛らしさに免じて許してやる」

足音が、徐々に私に近づいてくる。
身体が、動かない。

強い力で腕をつかまれ、身体を抱き起こされるとその存在と視線が絡む。

逸らしたいのに、恐怖で身体は言うことを聞いてくれない。

「そう怯えるな。お前のことは殺しはしない」

そう言って、私の濡れた前髪をそっと撫でる大きな手に、びくりと肩を揺らした

「・・・しかし、その血は気に入らんな」

再び不機嫌そうな表情が視界に映れば、荒々しく塞がれた唇に大きく瞳を瞬かせた。

抵抗したいのに、無理矢理絡まされる舌に徐々に身体の力が抜けていく。

「んぅ・・・っ、・・・や、・・・」

どれほどの時間、咥内を侵されていたのだろうか。
漸く彼の唇が離れた頃、私の意識は朦朧としていた。
「・・・離し、て、」
「ふは、聞こえんな。・・・さて、血も良い塩梅になった。そのまま大人しくしていろ」

そういって私の首筋に彼が顔を埋めた瞬間、肌を劈く痛みに双眸に涙が溢れた。
首筋に伝う血を、その存在は舐め取り、吸い付く。

貧血のせいか徐々に痛みを感じなくなる程に遠のいた意識を、私はぷつりと手放した。

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