第3章 副作用
「それじゃ、また明日ね。お疲れ」
「はい、お疲れ様でした」
時刻はすでに朝の4時を回っていた。
「明日っつーか、もう今日じゃん」
日々、容赦なくこき使われる日々に、嫌気がさすことも諦めてしまった。まあ、これも上層部からの嫌がらせだろうけど。
玄関の扉を開けば、静寂に包まれる廊下をまっすぐ見据える。
はもう寝てしまっているだろう。
何かあった時は連絡して、と電話番号を渡したが、任務中に僕のスマホが鳴ることはなかった。
居間へ向かうと、ふと机上に小さなメモが置かれていた。
──… 五条さん、おかえりなさい。お仕事、お疲れ様でした。ご飯は食べましたか?夕食を2人分作ったので、もし良ければ食べてください。冷蔵庫に入れています。
「・・・はあ、いい子過ぎでしょ」
メモに誘われるまま冷蔵庫を覗けば、ラップを掛けられたオムライスが冷やされている。
今食べるのも良いが、今日の朝、の前で感想を言いながら食べた方が楽しそうだな。
僕は、そっと冷蔵庫を閉じた後、寝室へ向かう。
当然、ベッドではが眠っている。相変わらず、綺麗に整ったその寝顔を眺める。
「・・・?」
しかし、何かがおかしい。呼吸数がいつもより多い気がする。心なしか、表情も苦しそうだ。
「・・・?」
ふと、昼間の硝子の言葉が脳裏に過ぎる。
「・・・まさか、副作用か?」
咄嗟にの首元へ手を当てた。
の柔肌は、確実に熱を帯びていた。