第3章 副作用
任務へ向かう車内で、流れる景色を眺めながら思考する。
任務に行くことを、に止めて欲しかったなんて、馬鹿げたことを考えた自分を振り返る。
が薬を信頼しているのは良いことだし、実際あの薬には効果がある。
加えて、マンションには帳もあるし、言ってしまえば今のは僕が傍にいなくても問題はない。
彼女を救う手立ては、全て順調に進んでいるはずなのに、どこかそれを気に入らない自分がいる。
「・・・ッチ」
小さく落とした舌打ちは、僕以外に聞こえることはなく、空気に溶けていった。
────────…、
午前3時26分。ようやく片した任務に深く息を吐いた。任務そのものは余裕だ。そりゃあ僕だしね。
「五条さん、明日も任務ありますし今日も高専で寝泊まりしますか?」
運転席から、気弱な男の声で問いが投げかけられる。
「・・・いや、家に帰る」
「え、明日任務ですよ?」
「知ってるっつーの」
「・・・」
伊地知が何度も確認する理由は分かる。僕は普段、連日で任務があるときはマンションに帰らず、高専で寝泊まりする。その方が何かと都合が良いからだ。その結果、あのマンションは物置と化するんだけど。
でも、今は違う。あの子がいる。