第3章 副作用
「ただいま〜」
高専から自宅へ、と帰宅する。
薬を飲んだおかげか、帰路で呪霊に出くわすことは無かった。
「、体調は平気?」
「ん、今のところは平気です」
「そっか、良かった」
僕は安堵の息を吐く。
その時、僕のスマホが着信で振動した。
「うげ、伊地知からだ」
嫌な予感しかしない。基本、こいつからの電話は急な任務が入ることが多い。
「もしも〜し」
『あっ、五条さん。すみません、急な依頼が入りまして・・・』
ほらね。
僕、今日は貴重な休暇だったんだけど。とか、人使い荒すぎなんだよ。だとか、散々伊地知に八つ当たりした後、荒々しく電話を切った。
どれだけ文句を言っても任務にはどうせ向かわなければならない。
「・・・お仕事ですか?」
終始、隣でその様子を見ていたがおずおずと僕に尋ねる。
しまった。ついついこの子の前でいつもの調子を出してしまった。
「そ、本当人使い荒いんだよねえ。.・・・が1人じゃ不安〜〜って言うなら、行くのやめるよ」
「・・・いや、私は大丈夫です!お薬も飲みましたし、本当に呪霊が襲ってこない事も分かったので、気にせずお仕事に行ってください!」
「・・・」
「・・・?、五条さん?」
黙り込んだ僕に、は首を傾げた。
「いや、なんでもないよ。は強い子だなって感心しただけ」
の頭をわしゃりと乱雑に撫でては、僕は玄関の方へ向かう。
「それじゃ、任務行ってくるね。帰ってくるのめちゃくちゃ遅いと思うから先に寝てて。食べ物は冷蔵庫の中の物、好きに食べて良いから」
「ん、分かりました」
「それじゃ」
「あっ、待って・・・!」
扉を開けて外へ出ようとしたとき、ぐい、と片手を引っ張られる感覚に動きを止め、の方を振り返った。
「・・・ん?どうしたの、」
「あ、・・・えっと、・・・行ってらっしゃい。頑張って下さいね」
は照れくさそうに笑って、ゆっくり僕の手を離した。
────… 本当に救いたいだけなのか?
その瞬間、硝子が僕に尋ねた問いが脳裏にふと過ぎった。