第3章 副作用
「お前が時間通りに来るなんて明日隕石でも降るんじゃないか?」
「失礼すぎでしょ、ウケる」
時間通りに硝子の研究室にと向かえば、第一声から心外だ。
「まあ、が早く行きましょうって促してくれたおかげなんだけど。に感謝してね、硝子」
「黙れクソ餓鬼」
「口悪〜〜」
勿論、口喧嘩をしにここまで来たわけではない。
「さて、本題に移ろうか。薬、できた?」
「ああ、勿論」
余裕そうに領いた硝子が、カプセル錠の薬を差し出す。
「それを一日一錠服薬しな。ただし、効果の持続にムラがある可能性がある。頓服薬として使用してもいい」
「なるほどね」
「・・・」
僕の隣でが不安そうな表情を浮かべて硝子の説明を聞いている。
そっとの頭に手を置くと、心なしかその表情が和らいだ。
「それと、一番初めは副作用が出る可能性が高い。まあ、免疫反応ってやつだ。恐らく発熱や頭痛だろうが」
「・・・分かりました。ありがとうございます、家入さん」
は丁寧に硝子へ頭を下げた。
「良い子じゃないか」
「でしょ」
薬を受け取り、帰宅する前にトイレに行ったを待つ中、煙草を吹かす硝子と言葉を交わす。
「随分と気に入ってるようだな」
「・・・まあ、良い子だし。純粋に救ってあげたいだけ」
「本当か?」
僕は目隠しの下、硝子を横目で一瞥する。硝子は正面を見据えたままで、視線は合わない。
「本当に救いたいだけか?」
「・・・何が言いてえの」
僕の間いに、硝子は小さく笑うと煙草の先端を灰皿に押しつけ、火を消した。
「・・・さあな。お前が今まで散々遊んで、捨ててきた女達にでも聞いてみれば分かるんじゃないか?」
突然の冷やかしに、思わず面食う。
「・・・それ、の前で言ったらマジで一生恨むから」
「はいはい」