第10章 イケメン vs. 子狼
先日に私を手酷く抱いてからの琥牙は彼なりにそれを気にしてるらしく。
以来ベッドの中では蕩けそうな程に甘くて優しい。
……そのお陰で週末のたびに乱れ過ぎる自分に、私は逆に困ってもいる訳だけど。
「真弥、買い物! いっつも食わせてもらうだけっつったら男がすたるもんな。 俺も持つの手伝うから。 飯終わったら一緒に行こうぜ」
「あ、ありが……」
何となく視線を感じてテーブルの方を見ると琥牙が意味ありげに頬杖をついてこちらを眺めていた。
『なに考えてるの?』
熱くなってる顔の私の頭の中を見透かすみたいに。
「うん……助かる、ます」
焦って変な日本語を口走る。
何にしろ、そんな風にくいくいと私のスカートを引っ張って見上げてくる雪牙くんはとっても可愛いし。
だから正直いって雪牙くんの来訪は私的に、決して嫌という訳では無かった。
***
「まあ、でも。 こうやって一旦懐に入れば身内みたいな感じになるから、おれにとってはありがたいのかなあ」
そんなわけでまだ陽が上がりきらない涼しいうちに三人で買い出しに出掛けた。
家に帰ったらみんなで食べようと雪牙くんは西瓜をブンブン振り回している。
「なんの話?」
「真弥の護衛役が増えて助かるって事だよ。 またおれがぶっ倒れたりしたら困るし」
「もう、相変わらず過保護なんだから」
「真弥、さっきも俺に、車道に出ちゃ危ないよ! なんて言いながら自分が階段から足滑らせてたもんな!」
運良く米袋を持った琥牙が階段のすぐ下にいてお米をエアバッグ代わりにして助けてくれた。
「………すみません」
確かに、それは。
でも元々私はそうではあるんだけど、言い訳をするとそれにはそれなりの理由がある。