第8章 病み上がりにDカップ*
……ただの脳筋なの?
うんうんと頷く狼チームの面々。
さすが強いは正義の世界らしい。
琥牙が虐待されてた訳じゃなくってホッとしたけど、体力の無い子供相手にそれしちゃダメよ。
「真弥どのには不思議な力もおありなんですなあ。 これはお子が出来ました暁には、是非とも琥牙様と里にお越しいただき、私たちの巫女として崇めなければ」
「……それはどうでしょうね……」
脳筋のお義母様と戦える自信は無いわ。
あっという間に瞬殺されそう。
***
それから夜も更けて家事も終えてから明日会社に行く用意などをしていた時だった。
お茶を飲みにキッチンに来た琥牙が通りすがりに立ち止まって、私のお腹の辺りに両手を回してくる。
「ん? なあに」
「ここのところ寝てばっかりだったから、有り余ってて。 ……いい?」
そんな風に囁かれ、色々あってすっかりと忘れてた事に気付いた。
けれど風邪は治りかけが大事だという。
「だ、ダメ。 まだ病み上がりだし私に風邪うつっちゃうし」
「調子悪くなるこれ、風邪っていうんだよね。 真弥にうつるの?」
「うん。 だから私、最近は琥牙と離れたソファベッドで寝てたし、明日から仕事いかなきゃだし。 少なくともあと二、三日は大人しくして我慢して?」
「そっかあ」
ひと言そう言って私の体からぱっと琥牙が離れた。